豚骨ラーメンが普及した理由と胡椒の関係について

ラーメンは日本人の国民食とも言えるほどに広く普及していますが、中でも豚骨ラーメンは濃厚な風味と白濁色のスープが特徴です。強い個性を持つ独特の風味は人を選ぶものの、好きな人はとことんハマる傾向があります。

豚骨ラーメンは調味料の一種である胡椒との相性が最高とも言われていますが、使うタイミングや量で風味が大きく変わるので注意が必要です。美味しい一杯を楽しむために、豚骨ラーメンについて学びましょう。

豚骨ラーメンとは何か

豚骨ラーメンは豚の骨の出汁をベースにしたスープで作るラーメン、というイメージがあります。しかし、ラーメンの多くは豚の骨で出汁を取っているのでこのイメージは決して正しいものではありません。豚の骨を使うのは同じですが、豚骨ラーメンは出汁の取り方が他のラーメンとは大きく異なるのです。

豚骨ラーメンのスープは白濁色でとろみがありますが、これは豚の骨に含まれているコラーゲンの影響です。コラーゲンは水と油を混ぜ合わせて乳化させる作用があり、同時に粘り気も作ります。これによって豚骨ラーメン特有の白く濁った、とろみのあるスープができ上がるのです。

コラーゲンは強く煮詰めることで骨からにじみ出てくるため、弱火で短時間熱するだけの他のラーメンはスープが白濁しないのです。また、豚骨ラーメンは豚の骨も食材として扱うのが大きな特徴です。本来、出汁を取った物は捨ててしまいますが、豚骨ラーメンの場合は煮詰めて柔らかくなった豚の骨も一緒に食べます。

出汁を取った豚の骨が入っていないラーメンは厳密に言えば豚骨ラーメンではないのです。逆に、出汁を取った後の豚の骨を食材として使っているラーメンは味付けに関係無くすべて豚骨ラーメンです。豚骨スープをベースにするという条件はありますが、しょうゆや塩、味噌といった定番の風味でも豚の骨が入っていれば豚骨ラーメンとして扱われます。

ラーメンと胡椒の関係

ラーメンを食べる際に胡椒を振りかける人は少なくありません。胡椒はラーメンに不可欠な調味料として広く認知され、ラーメンを扱う飲食店では胡椒を客席に用意しておくのが半ば常識となっています。しかし、胡椒は食材の生臭さを消すために下ごしらえの段階で馴染ませるのが本来の使い方であり、食べる直前に振りかけるのは他の料理ではほとんど見られない行為です。

ラーメンだけ胡椒を振りかけてから食べるのは、日本にラーメンが出回った当初の市場での反応が大きく関係しています。日本で本格的にラーメンが普及したのは20世紀初頭ですが、当時の日本の食卓にはラーメンのようなこってりした風味の料理はほとんどありませんでした。

ラーメン特有の風味は日本食に慣れていた人には刺激が強すぎたのです。特に出汁として使われていた豚の骨は動物の肉特有の生臭さが強く、その刺激はさっぱりした風味の日本食には無い物でした。そのため、初めてラーメンに触れた人はスープの生臭さを解消するために胡椒を振りかけたのです。参考資料>>とんこつラーメン店

胡椒の消臭作用で豚の骨の生臭さが取り除かれ、ようやくラーメンは日本人が好む料理として定着するに至りました。

豚骨ラーメンにぴったりな胡椒の選び方

豚骨の濃厚な風味が魅力である豚骨ラーメンですが、人によっては特有の臭気が苦手に感じることもあります。豚の骨を高温で長時間煮詰めることによって発生する臭気は好きな人には非常に香しく感じられますが、苦手な人にとっては決して慣れることができないのです。

そのような人でも豚骨ラーメンを美味しく食べるには胡椒を振りかけるのが良い方法に思えますが、胡椒の強い刺激が豚骨スープの風味を損ねるともされています。豚骨ラーメンのスープの風味は長く煮詰めた豚の骨から出た出汁だけではなく、一緒に加熱した様々な野菜エキスとの絶妙なバランスによって成り立っています。

荒々しく武骨な作り方に似合わない繊細な風味ですが、その風味が胡椒の刺激で台無しにされてしまうのです。元々、豚骨ラーメンには調味料を一切加えないのが正しい食べ方とされていました。観光客向けに売られている豚骨ラーメンにはスープの臭気を緩和させるために紅ショウガがトッピングされている物がありますが、そのトッピングさえ邪道扱いされていたこともあったのです。

しかし、価値観の多様化や豚骨ラーメンの知名度の向上から、現在では胡椒を振りかけて食べるのも個人の好みとして許容されるようになっています。それでも胡椒の強い刺激がスープの繊細な風味を損なうのは間違いありません。

胡椒を使う際は種類と量に注意することが大切なのです。胡椒の刺激を感じつつスープの風味を損なわずに美味しく食べるにはミルで挽かれていない粒胡椒が最適です。胡椒の粒をミルで挽いて粉末にすると刺激が拡散するので、スープの風味を感じられなくなってしまいます。

粒状のままならスープの風味を堪能しながら、胡椒の刺激も味覚を低下させない程度に楽しむことができるので豚骨スープとの相性はバッチリです。粒胡椒の中でも刺激なマイルドな白胡椒が向いていますが、粒状で売られていることが少ないのでその点は注意しなければいけません。

自分で豚骨ラーメンを作る際の注意点

知名度の向上によって、現在では日本中のラーメン屋で豚骨ラーメンを食べることができます。また、自分でラーメンを作る際も豚骨ラーメンの風味を再現したスープを使うことによって、本格的な味を楽しむことが可能です。

作り方は一般的なラーメンとほぼ同じであり、専用のスープを使えば手軽に豚骨ラーメンの味を再現することができるのです。豚の骨を長く煮詰める手間がかからないのは非常に便利な点ですが、その一方でプロの料理人が作る一杯と比べるとどうしても物足りないと感じてしまうのも事実です。

美味しい豚骨ラーメンを食べるならラーメン屋、手軽に楽しむなら手作りと、考えを切り替える柔軟性を持つことが重要になります。

ラーメン用の胡椒は湿気に触れないように注意する

豚骨ラーメンに胡椒を振りかける際、ラーメンから出てくる湯気に胡椒入れが触れないように注意します。湯気の湿気に胡椒が触れると湿ってしまい、そこからカビが生えるおそれがあるためです。胡椒は殺菌作用があるので乾燥した状態ならそのようなことはありませんが、ラーメンの湯気に含まれる水分に触れると一気に湿ってしまい、殺菌作用が低下するのです。

また、湯気には水分だけではなく出汁の成分も混在しているため、胡椒の風味が損なわれてしまいます。そのため、胡椒を使う際は皿などの入れ物に必要な量を盛り付け、改めて皿から振りかけるのが湿気に当てないための工夫です。